はじめに
Windows 11 やWindows 10 、Windows Server の幅広いバージョンで、Microsoft Defender Antivirus(マイクロソフト ディフェンダー アンチウイルス)が正常に動作しているにもかかわらず「ウイルス対策が無効になっています」という通知が繰り返し表示される不具合が確認されていました。
Microsoft はこの不具合を既知の問題として公表し、Defender のプラットフォーム更新版(バージョン 4.18.26080.4)で解消したと発表しています。情シス担当者は、社内への誤解を防ぐための周知と、管理下端末の更新適用状況の確認を進めておくことが望まれます。
1. 何が起きたか
Microsoft の公式サポート情報「Windows 11, version 25H2 known issues and notifications」によると、Microsoft Defender Antivirus の最新の更新プログラムを適用した端末で、実際にはウイルス対策が正しく機能しているにもかかわらず、「Microsoft Defender Antivirus is turned off(Microsoft Defender Antivirus が無効になっています)」という通知が表示される問題が発生していました。

この通知は次のような特徴を持っていました。
- Windows 起動時に表示される
- その後も断続的に表示が繰り返される
- 通知設定をオフにしていても表示が止まらない
- Windows セキュリティの設定画面ではすべての項目が「有効」と正しく表示されている
つまり、実際にはセキュリティ上の問題は発生しておらず、通知の表示のみに不具合があった状態です。
ただし、この種の誤通知は「本当に無効化されたのでは」と現場を混乱させ、不要な調査対応やヘルプデスクへの問い合わせを増やす原因になります。
2. 影響範囲
Microsoft の公式情報では、この問題は「Microsoft Defender Antivirus が動作しているWindows またはWindows Server の任意のバージョンで、最新のDefender 更新を適用した環境」で発生するとされています。
具体的な対象プラットフォームは以下の通りです。
| 区分 | 対象バージョン |
|---|---|
| クライアント | Windows 11(26H1 / 25H2 / 24H2 / 23H2)、Windows 10(22H2 / 21H2)、Windows 10 Enterprise LTSC(2019 / 2016) |
| サーバー | Windows Server 2025 / 2022 / 2019 / 2016 / 2012 R2 / 2012 |
Windows 11 だけでなく、Windows 10 やWindows Server まで幅広く対象になっている点に注意が必要です。月例の累積更新プログラムが原因ではなく、Defenderのプラットフォーム更新(アンチウイルスエンジン側の更新)に起因する問題であるため、OSのバージョンを問わず発生し得る点も特徴です。
3. 原因
Microsoft の公式情報では、原因の詳細な技術的説明は公開されていません。「Microsoft Defender Antivirus の最新の更新プログラムを適用した後に発生する」とだけ説明されており、表示上の不具合であって、実際の保護機能には影響がないとされています。Microsoft はこの問題を既知の問題として公表したうえで対応を進めていました。
4. 対応方法
Microsoft はこの問題について、Microsoft Defender Antivirus のプラットフォーム更新(バージョン 4.18.26080.4)で解消したと発表しています。この更新を適用することで、誤った「無効」通知は表示されなくなります。
対応の考え方は次の通りです。
- 該当端末で Windows Update を実行し、最新のDefender プラットフォーム更新を適用する
- 更新後、Windows セキュリティアプリでバージョン情報を確認し、Defender のバージョンが更新されていることを確認する
- 通知が解消しない場合は、端末の再起動や追加の Windows Update 確認を行う
Defender のバージョン情報は、Windows セキュリティアプリの「設定」から「バージョン情報」を開くと確認できます。この画面には複数のバージョンが表示されますが、一般的にプラットフォーム更新に対応するのは「マルウェア対策クライアントのバージョン」の項目とされています。「エンジンのバージョン」は別の値が表示されるため、混同しないよう注意してください。
なお、Windows セキュリティの「ウイルスと脅威の防止」にある「更新プログラムのチェック」は、ウイルス定義ファイル(セキュリティ インテリジェンス)を手動取得する操作であり、プラットフォーム更新とは別枠の仕組みです。この操作を行っても、必ずしもプラットフォームのバージョンが上がるとは限らないため、Windows Update 経由での更新確認が確実な手段になります。
5. 情シス担当者向けの推奨アクション
この不具合は実害がない「表示上の誤通知」ですが、情シス担当者としては次の点に注意が必要です。
- アラート疲れへの対策:
ヘルプデスクや現場から「Defender が無効になっていると表示された」という問い合わせが増えることが想定されます。事前に社内向けの周知文を出し、「表示上の不具合であり、実際の保護は継続している」ことを案内しておくと、無駄な対応工数を削減できます。 - 誤った対応の防止:
通知を見て「Defender を手動で再有効化しよう」「セキュリティソフトを再インストールしよう」といった不要な作業が行われないよう、対応手順を事前に周知しておくことが重要です。 - 展開状況の確認:
管理下の端末について、Defender のプラットフォーム更新(4.18.26080.4以降)が適用されているかを、Microsoft Intune やその他の管理ツールで確認することをおすすめします。特に Windows Update やDefender の更新配信ポリシーを制御している組織では、更新の展開状況を個別に確認する必要があります。 - 監視体制への影響確認:
SIEMやEDR等の監視基盤でDefender の状態を監視している場合、誤通知期間中に誤ったアラートが発報されていないかを確認しておくと安心です。
6. まとめ
Microsoft Defender Antivirus が正常に動作しているにもかかわらず「無効になっている」と誤って通知される不具合が、Windows 11 やWindows 10 、Windows Server の幅広いバージョンで確認されていました。
原因はDefenderのプラットフォーム更新に起因する表示上の問題で、実際の保護機能には影響がなかったとされています。
Microsoft はバージョン 4.18.26080.4 のプラットフォーム更新でこの問題を解消したと発表しました。情シス担当者は、社内への周知とあわせて、管理下端末の更新状況を確認しておくことが望まれます。
今回の誤通知は実害のない表示上の不具合ですが、ヘルプデスクへの問い合わせ増加や、現場での不要な再設定作業を招くリスクがあります。