穴水町、庁舎内でUSBメモリを紛失 ― 健診対象者の個人情報が所在不明に


はじめに

石川県穴水町は、庁舎内で業務用USBメモリ1本を紛失したことを2026年7月27日に公表した。紛失したUSBメモリには2025年度(令和7年度)の特定健診・後期高齢者健診の対象者リストが保存されていた可能性があり、氏名・住所・生年月日・性別といった個人情報が外部に流出するリスクが生じている。

今回のインシデントは、暗号化されていないUSBメモリに個人情報を保存することの危険性を改めて示す事案だ。情シス担当者として、USBメモリのポリシー整備やデータ管理の見直しを検討するきっかけとしてほしい。


1. 何が起きたか

石川県鳳珠郡穴水町は、令和8年7月9日(2026年7月9日)に庁舎内で業務用USBメモリ1本が所在不明となっていることが判明したと発表した。

USBメモリは庁舎内の執務室で使用されていたものだが、捜索を行っても発見に至っていない。誰かが持ち出した可能性も排除できない状況だ。

項目内容
被害組織石川県鳳珠郡穴水町(町役場)
紛失判明日2026年7月9日(令和8年7月9日)
紛失場所庁舎内(執務室)
紛失物業務用USBメモリ 1本
公表日2026年7月27日

2. 流出した可能性がある個人情報

紛失したUSBメモリに保存されていた可能性があるのは、以下の情報だ。

対象データ

  • 令和7年度(2025年度)特定健診の対象者情報
  • 令和7年度(2025年度)後期高齢者健診の対象者情報

含まれる個人情報の項目

項目内容
氏名対象者の名前
住所自宅住所
生年月日生年月日
性別男女の別

特定健診は40〜74歳の被保険者、後期高齢者健診は75歳以上の高齢者が対象であり、地域住民の基本的な個人情報が広範に含まれている可能性がある。穴水町の人口は2026年7月時点で約6,500人であり、USBメモリに収録されていた件数の規模は現時点では明らかにされていない。

現時点において、個人情報が第三者に不正利用された事実は確認されていない(穴水町 公式発表より)。


3. 穴水町の対応

穴水町は事案判明後、以下の対応を実施している。

対応内容状況
庁舎内(執務室・共用スペース・廃棄物保管場所等)の捜索実施中
関係書類の確認実施中
関係職員への聞き取り調査実施中
関係部署との連携実施中
個人情報保護委員会への報告実施(詳細は非公表)
公式発表(ウェブサイト)2026年7月27日

USBメモリの所在は2026年8月10日時点でも不明のままとなっている。


4. 情シス担当者が学ぶべき教訓

1. USBメモリへの個人情報保存を禁止・制限する

今回の事案は、暗号化されていない(または保護措置が不明な)USBメモリに個人情報が保存されていたことが問題の根本だ。個人情報を含むデータのUSBメモリへの保存は原則禁止し、やむを得ず利用する場合は暗号化必須とするポリシーを策定・徹底することが求められる。

具体的な対策例:

  • Windows環境では BitLocker To Go を使ってUSBメモリを暗号化する
  • MDM(Microsoft Intune等)で管理対象外のUSBデバイスを接続禁止にする
  • 個人情報を扱う業務はクラウドストレージ(SharePoint・OneDrive等)で完結させ、ローカルメディアへの書き出しを不要にする

2. データの保存場所を最小化する

個人情報がUSBメモリに保存されていたということは、クラウドや業務システム以外の「持ち出し可能なメディア」にデータが散在していたことを意味する。個人情報の保存場所をシステム管理下に限定し、USBメモリへのエクスポートを業務フローから排除することが根本対策となる。

3. 紛失・盗難インシデント発生時の対応手順を整備する

個人情報が含まれる機器・メディアを紛失した場合、個人情報保護法(改正法)に基づく個人情報保護委員会への報告義務が生じる可能性がある(漏洩件数・種別に応じて要件が異なる)。以下を平時に準備しておくこと。

  • 紛失・盗難発生時の連絡先(内部・外部)一覧
  • 個人情報保護委員会への報告フロー
  • 対象者への通知文テンプレート
  • セキュリティ担当者・法務・広報との連携手順

4. 職員教育とUSBメモリ棚卸しを定期実施する

USBメモリは小型で紛失しやすいメディアだ。職員・従業員が業務でどのようなUSBメモリを使用しているかを把握し、定期的な棚卸しと教育訓練を行うことが再発防止につながる。特に地方自治体・中小企業では管理が属人化しがちなため、台帳管理の仕組みを導入することを推奨する。


5. まとめ

今回の穴水町のインシデントは、USBメモリという身近なメディアへの個人情報保存がいかに大きなリスクをはらんでいるかを示す事例だ。サイバー攻撃によるものではなく、日常業務の中で発生したごく一般的な「紛失」であることが、特に注目すべき点である。

「うちは大丈夫」と思っている組織こそ、今一度以下の点を確認してほしい。

  • 業務用USBメモリの棚卸し・暗号化状況の確認
  • 個人情報を含むファイルのUSBへの書き出しを禁止するポリシーの有無
  • 紛失・盗難発生時の対応手順書の整備状況
  • MDMによるUSBデバイス制御の適用状況

出典

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