Azure Architecture Diagram Builder が Agent 対応に!会話でアーキテクチャ設計・MCP サーバー化まで使ってみた


はじめに

こんにちは!横浜情報機器株式会社インターン生のロホマン シャヒンです。

Microsoft Community Hub に面白そうな記事が上がっていたので、さっそく触ってみました。Azure のソリューションアーキテクト Arturo Quiroga さんが開発しているオープンソースツール「Azure Architecture Diagram Builder」が、会話式のデザインや MCP サーバー対応など大幅にアップデートされたとのこと。

Azure 好きとして、これは試さないわけにはいかない。


Azure Architecture Diagram Builder とは

自然言語のプロンプトだけで Azure のアーキテクチャ図を自動生成してくれる OSS ツールです。5月のローンチ時から「これ便利すぎる」と話題になっていましたが、今回の7月アップデートでさらに大きく進化しました。

ツールはこちらから試せます → https://aka.ms/diagram-builder
ソースコードは GitHub で公開されています。


今回の新機能まとめ

新機能一覧
機能概要
Architecture Chat会話形式でダイアグラムを反復設計。「Front Door を追加して」→「ゾーン冗長にして」と重ねられる
Blueprint Diagrams (BETA)手書き風のホワイトボードスタイルで出力。フォーマル図と並べて使い分け可能
13 モデル対応GPT-5.x / DeepSeek / Grok / Mistral / Kimi の5プロバイダー・13モデルをタスクで使い分け
MCP サーバー化AI エージェント(Microsoft Scout 等)からツールとして直接呼び出し可能に
Microsoft Learn グラウンディングデプロイガイドが公式ドキュメントを引用。トレーニングデータではなく現在の正確な情報を参照
出力強化(2026年7月)コストバッジ・ライト/ダークテーマ・メタデータパネルを追加

一番熱い新機能:Architecture Chat

これまでは「プロンプトを1回入力 → 図が出る」という一発勝負スタイルでした。少し変えたいだけでもプロンプトを書き直す必要があって、正直面倒でした。

Architecture Chat はこの問題をそのまま解決してくれます。ライブキャンバスを見ながら会話形式で設計を繰り返せます。

実際に試したフロー:

  1. 「3層アーキテクチャを Azure に構成して」 → フロントエンド / API / DB の基本構成が出る
  2. 「フロントエンドの前に Azure Front Door と WAF を追加して」 → 既存の図に追記される
  3. 「データ層をゾーン冗長にして」 → Zone-redundant な構成に更新
  4. 「SQL Database を Cosmos DB に変えて」 → サービスの置き換えと接続が自動更新

各ターンが「元のプロンプト」じゃなく「今のキャンバスの状態」を読んでいるので、変更が積み重なっていきます。人間の設計者とホワイトボードで議論する感覚に近い。会話履歴も自動保存されるので、以前のステートに戻ることもできます。


Blueprint Diagrams:ホワイトボード風の出力

フォーマルなトポロジー図(公式 Azure アイコン使用)と別に、手書き風のホワイトボードスタイルで出力できる機能がベータで追加されました。

出力モードは3択です:

  • Topology — 従来の公式アイコンを使った正式なトポロジー図
  • Blueprint — ネスト構造・番号付きフローの手書き風図
  • Both — 2種類を並べて生成

初期設計の議論では Blueprint、最終ドキュメントでは Topology、という使い分けができます。ステークホルダーへの説明資料を作るとき、「まだ確定じゃないんですが…」という段階では手書き風のほうが受け入れられやすいので、これは地味に助かります。


13 モデルフリート:タスクに合わせてモデルを選ぶ

5月のローンチ時からマルチモデル対応でしたが、今回13モデルまで拡張されました。

プロバイダーモデル
OpenAIGPT-5.1, GPT-5.2, GPT-5.2 Codex, GPT-5.3 Codex, GPT-5.4, GPT-5.4 Mini
DeepSeekV3.2 Speciale, V4 Pro
xAIGrok 4.1 Fast, Grok 4.3
MistralLarge 3
MoonshotAIKimi K2.5, K2.7 Code

Compare Models 機能が地味に便利で、同じプロンプトを複数モデルに並列実行して、サービス数・トークン使用量・レイテンシ・コストで比較してくれます。「Fastest / Cheapest / Most Thorough」バッジが付くので、今何を優先すべきかでモデルを選べます。

Bicep 生成なら Codex 系、素早い設計ラフなら Fast 系、という使い分けが証拠ベースでできるのは良い点です。


一番の目玉:MCP サーバー化

MCP サーバー構成図

今回のアップデートで個人的に一番テンション上がった機能がこれです。

Azure Architecture Diagram Builder が MCP(Model Context Protocol)サーバーとして動くようになりました。MCP 対応の AI エージェント(Microsoft Scout など)から、以下のツールをプログラム的に呼び出せます。

ツールできること
list_services対応 Azure サービスとカテゴリの一覧を取得
validate_architectureWAF(Well-Architected Framework)の柱ごとにスコアと所見を返す
estimate_costsAzure Retail Prices API を使った複数リージョンのコスト試算
generate_bicep設計から IaC テンプレート(Bicep)を生成
render_diagramトポロジーまたは Blueprint スタイルで図をレンダリング

エージェントが「HIPAA 準拠のプラットフォームを設計して、WAF でチェックして、West Europe の月額コストを出して、Bicep も生成して」と1回お願いするだけで、Diagram Builder が各ツールを順番に呼び出して構造化データを返してくれます。

アーキテクト業務の一部がエージェントに委譲できるということで、実際に Microsoft Scout でデモした画像を公式ブログで見ましたが、エージェントが render_diagram を呼び出して SVG を会話の中にインラインで表示していて、かなり実用的な感じでした。


Microsoft Learn グラウンディング

デプロイガイドの生成時に、リアルタイムで Microsoft Learn の公式ドキュメントを検索して引用するようになりました。

モデルのトレーニングデータではなく現在の公式ドキュメントを参照するので、情報の鮮度が段違いです。Azure のサービスはアップデートが早いので、「モデルが学習した時点の情報」に依存するのはリスクがあります。実用的な改善です。


Draw.io MCP ・ Skills との違い

“AI で図を作る” と言うと、実は draw.io にも公式の MCP サーバー(jgraph/drawio-mcp)があります。GitHub スター 4.8k とかなり人気で、VS Code (GitHub Copilot) や Cursor からも呼び出せます。両者を并べると明確に役割分担が見えてきました。

draw.io MCP のツール

draw.io MCP は「図を描く」部分に特化しています。主なツールは2つです:

  • create_diagram — XML を渡すと draw.io 形式のダイアグラムをチャット内にインライン表示またはエディタで開く
  • search_shapes — AWS / Azure / GCP / Kubernetes / UML など 10,000’以上のシェイプをキーワード検索

XML / CSV / Mermaid.js の3形式に対応しており、ホステッドエンドポイント(https://mcp.draw.io/mcp)も公開されているのでインストール不要で使えます。GitHub Copilot(VS Code)に対応しているので、弸社のブログ自動化パイプラインと同じ GitHub Copilot 環境から呼び出せるのは面白いです。

Azure Architecture Diagram Builder MCP のツール

一方、Azure Architecture Diagram Builder の MCP は「図を描く」だけでなく、「設計全体をサポートする」方向に特化しています。

  • render_diagram — Topology / Blueprint で図を生成
  • validate_architecture — Well-Architected Framework で検証して柱ごとにスコアを返す
  • estimate_costs — Azure Retail Prices API のリアルタイムコストを返す
  • generate_bicep — 設計から IaC テンプレートを生成
  • list_services — 対応 Azure サービスのカタログを返す

並べてみると

draw.io MCPAzure Architecture Diagram Builder MCP
主な用途汎用図形作成(XML / CSV / Mermaid)Azure アーキテクチャ設計・検証・コスト
図の生成create_diagramrender_diagram(Topology / Blueprint)
WAF 検証✖ なしvalidate_architecture
コスト試算✖ なしestimate_costs
IaC 生成✖ なしgenerate_bicep
シェイプ検索✅ 10,000+ シェイプ (search_shapes)✖ なし(Azure サービスは list_services で取得)
入力形式XML / CSV / Mermaid.js自然言語プロンプト
VS Code (Copilot) 対応@drawio/mcp 経由✅ MCP サーバーに直接接続
ホステッド URL✅ mcp.draw.io/mcp(インストール不要)✅ ライブデモかセルフホスト
対象ドメインAWS / GCP / Kubernetes / UML 等汎用Azure 専用

役割分担として整理するとこうなります。draw.io MCP は「どんな図でも描く」汎用性が強みで、XML を渡せばクラウド汎用図からブロック図までもの「描き晶」です。一方 Azure Architecture Diagram Builder MCP は「Azure 設計・検証・コスト・ IaC まで一気通高」に特化しています。

チームで Azure 設計をやるなら両方入れておくのが違和感ない印象で、draw.io MCP で図を細かく整えて、Azure Architecture Diagram Builder で WAF チェックやコスト試算をするなど、併用して使うノリもありそうです。


Draw.ioAzure Architecture Diagram Builder
図の作り方ドラッグ&ドロップで手動作成自然言語のプロンプトから AI が自動生成
反復修正ノード・エッジを手動で修正Architecture Chat で会話形式に修正
Azure サービス知識自分でアイコンを配置する必要ありAI が適切な構成を提案してくれる
WAF 検証なしあり(validate_architecture
コスト試算なしあり(estimate_costs
IaC 生成なしBicep テンプレートを自動生成
MCP / エージェント連携なしMCP サーバーとして AI エージェントから呼び出し可能
出力形式SVG / PNG / PDF 等Topology(平流図)・ Blueprint(手書き風)
オフライン利用可能クラウドベース
対象汎用ダイアグラム全般Azure アーキテクチャ専用
OSS✅ OSS✅ OSS

一言でまとめると、Draw.io は「自分で詳細まで描きたいときの道具」、Azure Architecture Diagram Builder は「「こんな構成が欲しい」とチャットするだけで設計を始めたいときの道具」という分かれ方がしっくり来た。

Draw.io の強みはやはり「自分のイメージ通りに細かい部分まで描き房す」自由度です。そこは今回のツールにはあまりない。一方で、新規システムの Azure 設計をゼロから始めたい、WAF やコストが気になる、Bicep も同時に欲しい、という場面では Azure Architecture Diagram Builder が圧倒的に暗い。


使ってみての感想

実際に https://aka.ms/diagram-builder でいくつか試しました。

Architecture Chat は本当に「人と話しながら設計する」感覚で、プロンプトを書き直すストレスがゼロになります。Azure の各サービスの役割を覚えながら設計を学べる感じがあって、学習ツールとしても使えそうだと思いました。

実際に生成した Blueprint 図

Blueprint モードで「弊社のブログ自動化パイプライン」を入力したところ、以下のアーキテクチャ図が生成されました。実際の操作手順はこうです:

① Architecture Chat にプロンプトを入力

Architecture Chat パネルにプロンプトを入力した画面

② AI Architecture Generator ダイアログで 「Both」を選択

AI Architecture Generator ダイアログ - Topology / Blueprint / Both の選択画面

③ 「Generating…」 — Topology + Blueprint を並列生成中

Both モードで Generating... 状態の画面

生成結果の Blueprint 図はこちら。GitHub Actions から Container Apps、VOICEVOX・ Gemini API・ FFmpeg を経由して WordPress に公開されるまでのフローが、ネスト構造と番号付きフローアローで分かりやすく出力されています。

YJK Blog Automation Pipeline の Blueprint 図(Azure Architecture Diagram Builder 生成)

プロンプトは英語で入力しましたが、図中のラベルは自動で適切に配置され、Key Vault・ Container Apps・ VOICEVOX・ FFmpeg・ WordPress REST API・ Application Insights・ Azure Monitor・ Microsoft Entra ID といったコンポーネントがグルーピングされて出力されました。実際に再現可能な構造がワンプロンプトで出てくるのは、放置しておくには惜しいツールです。

MCP サーバー化については、GitHub Copilot と組み合わせてみたいと思っているところです。Copilot のエージェントから Diagram Builder の MCP サーバーを呼び出して、コードリポジトリの構成から自動でアーキテクチャ図を生成する、という使い方ができそうで、これは近いうちに試してブログに書きます。

MCP で estimate_costs を呼んでみた

実際に VS Code の MCP 設定(.vscode/mcp.json)経由で estimate_costs ツールを呼び出してみました。リージョン指定は Japan East です。

.vscode/mcp.json を作成→ VS Code がサーバーを認識

.vscode/mcp.json の設定画面—VS Code が Start リンクを表示

② GitHub Copilot Chat から @azure-diagram-builder で呼び出し

Copilot Chat で estimate_costs プロンプトを入力した画面

③ MCP ツールが履行され、コスト結果が返ってきた

Copilot の MCP estimate_costs 結果—Japan East 未収録・カタログ範囲で返答

MCP サーバーから返ってきた結果:

services: – Blog Automation API (Container Apps / standard) – Secrets Store (Key Vault / standard) – Telemetry & Tracing (Application Insights / standard) – Artifact Storage (Blob Storage / standard) – Metrics & Alerts (Azure Monitor / standard) region: Japan East

MCP サーバーから返ってきた結果:

サービスAzure タイプカタログ範囲(月額)
Blog Automation APIContainer Apps$0 〜 $500 / 月
Secrets StoreKey Vault$0.03 / 10K オペレーション
Telemetry & TracingApplication Insights$2.30 / GB インジェスト
Artifact StorageBlob Storage$0.02 〜 $184 / GB
Metrics & AlertsAzure Monitor$2.30 / GB インジェスト

ここで面白いのが、Japan East は現時点のスナップショットに未収録で、最近プロキシとして Southeast Asia(シンガポール)が使われたこと。また全サービスが従量課金のため、固定月額ではなくカタログ範囲での返答になっています。ツールが円覚な数値を損ねて出さないのは正直で良いと思いました。

具体的な試算は Azure 料金計算ツール を使って、実際の使用量に合わせて計算するのがおすすめです。

MCP で render_diagram も呼んでみた

estimate_costs だけでなく、render_diagram ツールで Topology 図も MCP 経由で生成できます。Copilot Chat から同じプロンプトで呼び出したところ、コストバッジ付きの Topology 図が返ってきました。

MCP render_diagram で生成した YJK Blog Automation Pipeline Topology 図(コストバッジ付き)

GitHub Actions → Azure Container Apps → Gemini API / VOICEVOX / WordPress REST API のフローが公式 Azure アイコンで描画され、各サービスにコストバッジ(「$0-500/mo」「$0.03 per 10K operations」等)が直接表示されています。図の右下に「Generated by Azure Architecture Diagram Builder」のクレジットも入っています。


まとめ

Azure Architecture Diagram Builder が「クリックするアプリ」から「チャットするパートナー」を経て「エージェントが呼び出すツール」へと進化しました。

Architecture Chat による会話式設計、Blueprint モードの手書き風出力、13モデルフリートのどれも実用的ですが、MCP サーバー化が今後の可能性という意味では一番大きいと思います。AI エージェントが Azure アーキテクチャを設計・検証・コスト試算・IaC 生成まで自律的にこなせる世界は、もうすぐそこまで来ています。

全部 OSS なので、気になる方はすぐに触ってみてください。

参考

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