Microsoft Copilot Studio ライセンス完全ガイド 2026年8月版:情シスが押さえるべき料金プランと選び方


はじめに

「Copilot Studio を導入したいが、ライセンスが複雑すぎてどれを選べばいいかわからない」——こんな声を社内で聞いたことはないだろうか。

Microsoft が2026年8月に公開した最新ライセンスガイドを読み解くと、以前より整理されたとはいえ、まだ選択肢が多い。本記事では、情シス担当者が実務で判断できるレベルまで噛み砕いて解説する。


1. まず知っておくべき「ハーネス」の概念

Copilot Studio でエージェントを作るとき、3種類の「ハーネス(Harness)」から選ぶことになる。ハーネスとは、エージェントが計画・推論・ツール連携を行う土台となるソフトウェアの枠組みだ。

ハーネス用途典型的なユースケース
GitHub Copilot ハーネスエンドツーエンドの業務プロセス自動化請求書の照合・例外承認ルーティング
Standard ハーネスルールベースの会話エージェントIT オンボーディング、申請フロー
Copilot Chat ハーネスMicrosoft 365 Copilot のカスタマイズSharePoint ナレッジを使った社内 Q&A

情シス視点でのポイント:
Standard ハーネスと Copilot Chat ハーネスは、Microsoft 365 Copilot ライセンス保有ユーザーが Microsoft チャネル(Teams 等)で使う場合はフェアユース範囲内で追加費用なし。一方、GitHub Copilot ハーネスは利用状況にかかわらず Copilot Credits が消費される

3つのハーネスの比較図:GitHub Copilot ハーネス・Standard ハーネス・Copilot Chat ハーネスのユースケースと課金方式を一覧で示す
図1. 3つのハーネスの用途と課金方式の違い

2. 課金の基本単位:Copilot Credits とは

Copilot Credits は、Copilot Studio の利用量を測る消費単位だ。1クレジット = $0.01(ペイアズユーゴー時)という形で、エージェントが処理するたびに消費される。

消費量に影響する主な要因:

  • エージェントの設計(使用する機能・ナレッジソースの複雑さ)
  • ハーネスの種類(GitHub Copilot ハーネスは構築時にも消費)
  • 音声エージェント(通話時間の秒単位で計算)

Microsoft は「Copilot Credit Estimator」というツールで事前見積もりを提供しているが、あくまで参考値であり契約上の保証ではない点に注意。

3. 4種類の購入オプション(2026年8月時点)

Copilot Studio ライセンス購入オプション比較:ペイアズユーゴー・Copilot Credit P3・Microsoft Agent P3・キャパシティパックの概要
図2. 4つの購入オプションの特徴と適合ユースケース

3-1. ペイアズユーゴー(従量課金)

  • 価格: $0.01 / Copilot Credit
  • 特徴: 事前コミット不要。使った分だけ後払い
  • 推奨場面: 利用量が読めない PoC 段階、季節変動が大きい業務
  • 注意点: エージェント作成・管理には「Copilot Studio Author ロール」が必要(追加費用なし)

3-2. Copilot Credit 事前購入プラン(P3)

  • 価格: 5〜20% の割引(ティアによる)
  • 最小購入量: 300,000 クレジット(年間前払い)
ティアクレジット数割引率
1300,0005%
21,500,0006%
33,000,0007%
415,000,0008%
530,000,00010%
675,000,00012%
7150,000,00014%
8225,000,00017%
9300,000,00020%

注意点: 未使用クレジットは年度末に失効。MACC(Azure 消費コミットメント)から控除可能。

3-3. Microsoft Agent 事前購入プラン(P3)

Copilot Studio と Microsoft Foundry の両方を横断して使えるユニファイドプランだ。

  • 単位: ACU(Agent Commit Unit)。1 ACU = $1 = 100 Copilot Credits
ティアACU 数割引率
120,0005%
2100,00010%
3500,00015%
  • 推奨場面: Copilot Studio と Azure AI Foundry を両方使う予定がある組織
  • 注意点: 未使用 ACU は1年後に失効

3-4. Copilot Studio ライセンス(キャパシティパック)

従来型のサブスクリプション形式。

  • 価格: $200 / パック / 月(年間契約)
  • 内容: 1パック = 25,000 Copilot Credits / 月
  • 注意点: 未使用クレジットは月次で失効。容量超過時は別途ペイアズユーゴーメーターを追加可能
  • ユーザーライセンス: 作成・管理ユーザーには「Copilot Studio User License」が必要($0)

4. Microsoft 365 Copilot ユーザーがいる場合の注意点

Microsoft 365 Copilot のライセンスを持つユーザーが、認証済み ID で Standard ハーネス・Copilot Chat ハーネスのエージェントを Microsoft チャネル上で実行する場合——追加の Copilot Credits は不要(フェアユース適用)。

Microsoft 365 Copilot ライセンスと Copilot Credits の関係図:カバーされるケース・されないケースをフローチャートで整理
図3. M365 Copilot ライセンスでカバーされる範囲とされない範囲

ただし、以下の点に注意が必要だ:

  • GitHub Copilot ハーネスは M365 Copilot ライセンスではカバーされない
  • Work IQ API の利用は M365 Copilot USL に含まれない
  • 外部向け(BtoC)シナリオは対象外

情シス担当者がチェックすべきポイントは「どのチャネルで誰が使うか」と「どのハーネスを使うか」の2点だ。

5. Dataverse の容量と追加購入

Copilot Studio を使うと、裏側で Microsoft Dataverse が動く。テナントあたりのデフォルト容量は以下のとおりだ:

種別デフォルト容量
Dataverse Database15 GB
Dataverse File20 GB
Dataverse Log2 GB

超過した場合の追加購入価格(月次):

種別追加単位価格
Database(標準)1 GB$40/月
Database(Tier 2)1,000 GB〜$30/月
File1 GB$2/月
Log1 GB$10/月

エージェントで大量の添付ファイルや音声データを扱う場合、File 容量の超過に注意。構築前に想定データ量を確認しておくのが無難だ。

6. 管理・ガバナンス機能

ライセンス選定と同時に確認しておきたいのが、ガバナンス機能だ。

Managed Environments
以下のライセンスを持つテナントで有効化できる:

  • Copilot Studio テナントライセンス
  • Power Apps / Power Automate スタンドアロン USL
  • Dynamics 365 Premium / Enterprise など

有効化すると、テナント内のすべてのアクティブ利用に対してスタンドアロンライセンスまたはペイアズユーゴーメーターが必要になる点に注意。

管理者が PPAC(Power Platform Admin Center)でできること:

  • Copilot Credit の使用状況をテナント単位でリアルタイム確認
  • エージェントの共有権限を制御(Viewer/Editor の付与)
  • 生成 AI 機能を使うエージェントの公開を無効化
  • DLP(データ損失防止)ポリシーの適用

キャパシティ超過への対応:
購入済み容量は月次で強制適用される。超過が続くとサービス拒否(遮断)が発生する。監視・アラートの仕組みを事前に整備しておくこと。

7. どのプランを選ぶべきか:情シス向け判断フロー

状況別の推奨プランをまとめた。まず「M365 Copilot ライセンスを持っているか」を確認するところから始める。

情シス向けライセンス選定フローチャート:M365 Copilot有無・用途・利用量の3段階で最適なプランに到達
図4. ライセンス選定フローチャート(情シス向け)
  • M365 Copilot あり & 社内 Teams チャネルで使う → 追加購入なしで Standard / Copilot Chat ハーネスが使える。GitHub Copilot ハーネスを使う予定があれば追加で検討
  • M365 Copilot なし、または外部向けシナリオ → 以下の購入オプションから選ぶ

利用量別の推奨:

状況推奨プラン
PoC / 試験導入(利用量不確定)ペイアズユーゴー
月間クレジット量が概算できる(25,000 以上)Copilot Studio ライセンス(キャパシティパック)
年間利用量が読める、かつ Copilot Studio のみCopilot Credit P3(ティア1〜)
Copilot Studio + Azure AI Foundry 両方使うMicrosoft Agent P3

8. 外部ユーザー(マルチプレクシング)の注意点

社外のユーザーにエージェントを公開する場合、適切なライセンスが必要。マルチプレクシング(複数ユーザーを1ライセンスで回す構成)はライセンス違反になる。

外部ユーザーへのアクセスには以下のいずれかが必要だ:

  • Power Platform USL
  • Power Pages 認証済み / 匿名ユーザーライセンス
  • Power Automate ペアフロー / プロセスライセンス

自社従業員ではなく、30時間/週未満の外部委託者への提供も「外部ユーザー」扱いになるため注意が必要だ。

9. まとめ

2026年8月版の Copilot Studio ライセンスガイドを整理すると、キーポイントは3つだ。

  1. ハーネスを先に決める — どのハーネスを使うかで、M365 Copilot ライセンスで追加費用なしになるか、Copilot Credits が必要になるかが変わる
  2. 利用量を見積もってから購入形態を選ぶ — PoC はペイアズユーゴー、本番はキャパシティパックか P3 プランが基本線
  3. PPAC でのガバナンス体制を整備する — 容量超過によるサービス遮断が起きる前に、モニタリングとアラートを設定しておく

ライセンスは複雑に見えるが、「誰が・どのチャネルで・どのハーネスで使うか」を整理すれば、大半のケースで最適な選択肢は絞り込める。

Copilot Studio のライセンス選定は、社内の利用シナリオとハーネスの組み合わせを把握しないと、意図せずコストが膨らむことがあります。YJK では Power Platform ライセンスのアセスメントから導入計画の策定まで、情シス担当者と一緒に整理するご支援をしています。「どこから手をつければいいか分からない」という段階からでも、ぜひご相談ください。


出典

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